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No.180


Profile

 1945年福島県生まれ。東北大学大学院薬学修士課程を卒業後、岡山大学医学部で医学博士号を取得。'82年に佐賀医科大学(現佐賀大学医学部)地域保健科学教室の助教授に就任、環境変化とストレスの研究を行う。'00年04月より佐賀女子短期大学人間生活学科教授に就任。今年3月、アルツハイマー病の発症メカニズムに関する新しい学説を発表した。


若者たちへの
メッセージ

「高齢化が進みストレスも増えるこれからの時代、特に若い世代のみなさんには、子ども達やお年寄りに対して思いやりを持って、助け合いの精神を持ってほしいと思います。特に女性のみなさんには他人に対する優しさ、愛を示して、周りの人々のストレスを軽減させてほしいですね。これからは、若い世代のみなさんが主役なんですから」


佐賀女子短期大学 人間生活学科 教授 医学博士
 長谷川 亨 さん  - Toru Hasegawa -
「他人に対する思いやりを持ち、お互いが助け合うこと。それが、アルツハイマー病予防のために重要なんです」

 高齢化社会への推移が加速している現代の日本。高齢化社会が抱える諸問題の中でも、アルツハイマー病は介護や医療との関連もあり、大きな問題としてクローズアップされている。アルツハイマー病発祥のメカニズムは、遺伝的な要因に加え生活環境なども複雑に絡み合い、世界中の研究者達が日々研究に勤しみつつもいまだその原因の特定と根本的な治療方法の確立には至っていない。そんなアルツハイマー病研究に一石を投じる新しい学説が、今年3月、日本で発表された。
 「強いストレスやPTSD(心的外傷後ストレス障害)などにより増加した悪玉アミノ酸の酸化物・ホモシステイン酸が、神経細胞を萎縮させアルツハイマー病を発症させる」。現代人が日々さらされ続けるストレスこそがアルツハイマー病の大きな要因であるというこの学説を発表したのが、佐賀女子短期大学人間生活学科の長谷川亨教授だ。
 長谷川教授は昭和20年、福島県に生まれる。岡山大学医学部、佐賀医科大学(現佐賀大学医学部)地域保健科学教室を経て、'00年4月より佐賀女子短期大学人間生活学科教授に就任。佐賀医科大学時代の'96年、緑茶が認知症の予防になることを発見。それをきっかけに、本格的にアルツハイマーの研究に従事することとなった。
 「ヨーロッパの人々は昔から東洋文化を『おしゃれで格好良いもの』として、日常の中にもオリエンタルな品々を取り入れてきました。日本食の人気を受けて、茶碗やお皿といった日常遣いの陶磁器も向こうでは高い評価を受けています。ミラノスタジオで開催した絵付けのワークショップでも、現地のアーティストをはじめ多くの人々に参加いただき、たいへんユニークで芸術性の高い作品が出来上りました。こういった活動を通して、ミラノの人々がさらに日本文化に親しんでくれたらと思います」
「ビタミンB6やB12、葉酸などが欠乏すると悪玉アミノ酸のホモシステインが増え、結果としてアルツハイマーになりやすくなります。さらに、ストレスを受けることでもホモシステイン酸は増えるんです。例えば、若年性アルツハイマーをテーマにした韓国映画の『私の頭の中の消しゴム』、渡辺謙主演の『明日の記憶』という2つの作品がありましたね。前者の作品では上司との不倫とその破局、後者の作品では著しく多忙な仕事と、それぞれが発症前に大きなストレスを抱えていました。そのストレスが、アルツハイマー病発症の引き金を引いたと言えます。逆に言えば、日常の生活でできるだけストレスをためこまないこと、また、たまったストレスを上手く発散させること…この2点が、アルツハイマーの予防に有効だということになりますね。また、ココアや緑茶に含まれる『ピロロキノリンキノン』(PQQ)という物質がホモシステイン酸を抑える効果があることがわかりました。ストレス解消には温泉やお風呂が一番ですから、例えば湯上がりに緑茶をいただけば、アルツハイマー病の予防効果がさらにアップするでしょう。生活習慣病と同じく、アルツハイマー病も予防が重要なんです」
 アルツハイマー病を引き起こす原因となる日々のストレス。長谷川教授は、ストレスのたまりやすい現代の社会構造そのものにも問題があると言う。
「昔の日本は地域ごとの共同体意識が強く、お互いが助け合って生きてきました。その共同体意識が薄くなってしまった現代では、かつての日本人が持っていた他人に対する思いやり、そして他人のために行動する意識も希薄になっています。個人で独立した生活を送っていると、他人とふれあうこともなく、ストレスを発散させる機会も少ない。他人を思いやり、若者もお年寄りも手を取り合って生活すること、それがお互いのストレスを軽減し、それによって自然とアルツハイマーのような病気も少なくすることができると思います。特別な治療を施すということなく、日々の生活の中でアルツハイマーを予防できる、そんな社会が理想ですね」

※プロフィールなどの記述は「月刊タウン情報さが」掲載当時のものです。

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