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No.163


Profile

昭和19年、東与賀町生まれ。 三根町(現みやき町)に結婚と同時に住む。小学校で教鞭をとり、ご主人の母の介護のために55才で退職。同じ年の8月にご主人が急逝。そして平成17年8月、夫婦の夢であった図書館をオープンさせた。


若者たちへの
メッセージ

自分の人生は誰のものでもありません。
一歩一歩成長できるような自分しか生きられない人生を送ってほしい。


ふれあい広場ひだまり館主

西原紘子 さん

大人を取り巻く環境の影響を受けるのは、罪のない子ども達。大人が変わらなきゃ、
世の中は変わりませんから

 みやき町の東津地区。田園や畑に囲まれた静かな集落の一角に建つ木造の建物。一見するとおしゃれな喫茶店のようだが、正体は私設図書館。今回紹介するのは、「ふれあい広場ひだまり」を運営する西原さんだ。 「当時は、女性が大学まで行くことは少なかった。だから、大学まで行って就職して、すぐ結婚して仕事辞めたら、親に申し訳ないという時代でしたよ。教職は、女性が自立して働ける職業の一つで、子供が好きだったので教職に就きました。仕事がとても楽しくて、結婚はもっと後でもいいやと思っていました」。

 ところが、親と職場の上司の薦めでご主人と出会い、太鼓判付きで、半ば背中を押されるように結婚して、三根町(みやき町)に嫁いだ。 「お互い純粋で、教育に対する価値観が合ったというのが印象に残っています」。 と当時を振り返る。それからというもの、仕事に家庭に、そして育児にと充実した日々を送っていた。しかし、6年前、義母の介護のために定年より5年早く退職。介護に明け暮れる毎日を送っている最中、あろうことかご主人が体調を崩してしまった。肺炎の一歩手前で大事にはいたらず、ほっと胸をなで下ろした。しかし、悲劇は突然訪れた。かかりつけの病院で『だいぶ元に戻りつつありますね』と診察を受けた後、家に戻り、西原さんがちょっと外出している間に、帰らぬ人となってしまった。急性心不全だった。 「頼まれたらイヤと言えない優しい人でした。10年くらい前にね、『引退したら、本に囲まれた生活がしたいな…』と話したことがあるんです。夫婦で話しているとき、お父さんは『お前が図書館をつくるなら、自分は庭いじりをする!』と言ってたんですよ」。

 西原さん自身、その頃は図書館まで考えていなかったそうだが、ご主人の法事の時に親戚の間からこんな話が出たそうだ。 「私の前では、一緒に図書館をするなんてこれっぽっちも言っていなかったのに、親戚の前では『夫婦で図書館をするのが夢なんだ』って話していたんですって。ほんとに昔気質の男性なんですね」。

 そこで、本当に図書館を作ってみようと思いたった西原さん。本格的に着工に入る前にモデルルームを何回か見学に行き、温かみが表現できるように木造にすることに。日田杉をふんだんに使った建物は、確かにやわらかい印象を与える。四方に窓があり、北方以外はやわらかい光が差し込む。老若男女誰でも利用できるようにバリアフリー、福祉トイレの設置も行った。そして本棚上には、亡きご主人の写真が掲げられており、まるで、亡きご主人が見守っているようだ。 「私は写真を飾るのはやめようと思ったのですが、友人たちが薦めてくれて。私にとっては建物全体がお父さんだから。全体に包まれているんですよ」。

 平成17年8月のオープン時には朗読会を開催、地域の親子連れがフロアいっぱいになるほど集まった。 「この場所が命の洗濯の場所になってくれたら。今、子供の犯罪とか多いでしょ。大人の取り巻く環境が悪いから子供に影響するんです。大人が変わらなければ世の中は変わらない。少しでもこの場所が環境を変えるきっかけになればと思います」。

 子育てに悩む親が相談できる場所はあるようで、本当の拠り所となるとほとんどないというのが現状。うちの町にもこんな場所があったら……そんな声が聞こえてきそうな「あたたかい場所」の存在は、これからの青少年育成、親の意識改革という問題を抱えている日本教育環境に希望の光を与えてくれそうだ。

※プロフィールなどの記述は「月刊タウン情報さが」掲載当時のものです。

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