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No.158


Profile

昭和16年千代田町・高志生まれ。学生時代から地元の高志狂言に関わり、その伝承、保存に携わる。現在、高志狂言保存会世話人代表を務める。


若者たちへの
メッセージ

若い方には「古きをよく知れ」と伝えたいですね。新しいものももちろん良いですが、古い文化、歴史を現代の目で見て、脈々と伝えられてきたものを感じ取ることも大事だと思います。


高志狂言保存会世話人代表

古賀 安行 さん

地域の中で地道に実直に、
そして誇りを持って…。
世代を越え伝えられてきました。

 千代田町に高志という地区がある。高志神社を囲むように30戸ほどの家が集まる小さな集落だ。しかしこの高志には、約200年前から集落の中だけで伝えられ守られ続けている伝統芸能がある。近年、全国的にも注目を集めている「高志狂言」だ。

 今回お会いしたのは、高志狂言保存会の古賀安行さん。高志に生まれ育ち、県重要無形民俗文化財に指定されている高志狂言の伝承、保存に長年力を注いでいる。

 「初めて舞台に立ったのは高校3年のとき。その頃は、感動などと言うものよりは、高志に住むなら狂言は当然するものだという意識しかなかったですね」。

 高志の人々にとっては、狂言は地域生活の 中にごく当たり前に根付いたものだったようだ。

 この高志狂言に関心が寄せられているのには、いくつかの理由がある。その最たる件として、狂言の流派の中でも現在では全国で3ケ所しか残されていない「鷺流」を伝承していること、さらにその鷺流の秘曲と呼ばれる『半銭』という作品を全国で唯一伝えていることが挙げられる。

 「何故、鷺流がこの高志に残っているかという正確な理由はわかりません。“半銭”に関しては、大坪(勘一)さんという故人が昔の記憶を頼りに数十年前に台本を書き起こし、それが今に伝えられているものです。これも何故、高志だけに残っているのかという詳しいことはわからないようです」。

 古賀さんの家に嘉永7年(一八五四年)のものとされる直筆の台本が残されていたものの、高志狂言の成り立ちや歴史を詳しく示す文献は少ない。高志狂言が「口授口伝」を原則に直接伝えられてきたこと、また収益目当ての興行を殆ど行なわず、奉納として演じられてきたことも一因にあるようだ。

 「例外的に、昔医者に見てもらうのにお金がなく、仕方なく診察代の代わりに上演した事があったとも言われていますが、よほど切羽詰まっての事だったんでしょうね。今でも酒の席では決して上演しません。その辺りはやっぱり昔からのプライドがあるんですね」。

 派手な公演を行なわず、地域の中で地道に実直に、そして誇りを持って。高志狂言はこうして世代を超え伝えられてきた。

 30年ほど前からその存在が徐々に注目を浴び、現在、高志神社の秋祭りでの奉納公演には県外からもファンが集まるほどになった。鷺流を伝える佐渡、山口と3ケ所の交流や共同公演が行なわれるなど、その活動も広がりを見せている。反面、後継者難の問題も深刻だ。古賀さんたちの保存会では、地元の子どもたちへの狂言指導や公演も精力的に行なっている。

 「おとなしくて声も小さかったのに、狂言に興味を持ってから自信がついて大きな声で堂々と演じ、性格まで元気になった子どももいます。後継者に関して心配も大きいですが、子どもたちのそういう姿を見ていると本当に頼もしく感じますね」。

※半銭…鷺流狂言の秘曲と言われ、口授口伝で高志地区に受け継がれている。



※プロフィールなどの記述は「月刊タウン情報さが」掲載当時のものです。

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