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No.147


Profile

昭和22年、福岡市生まれ。
幼児教育に携わり、結婚後の昭和55年に佐賀市に転居。平成7年頃実母が痴呆症に罹患、自宅での介護を始める。平成13年、(社)呆け老人をかかえる家族の会佐賀支部の代表に就任。翌年『汗かき、べそかき、恥かき日記 介護体験記』(佐賀新聞社)を出版。講演や『精神認知とOT』(青海社)への連載など幅広く活動を続ける。


佐賀の若者たちへの
メッセージ

「自分がいるということは親がいること。その親はやがて年をとって、老いや病気といった問題が出てきます。そのときにどうするか、家族・兄弟で話し合って考えていくことが大事だと思いますね。」


社団法人 呆け老人をかかえる家族の会佐賀支部 代表

森 久美子 さん

まず痴呆症について知る、対応を工夫してみる
ひとりで抱え込まず周囲に話し、助けてもらう
そうやって私の気持ちが落ち着いたら、母の状態も良くなりました。
そんな母に私もまた良くなる。今はとても良い相乗効果です。

 親が元気な間は、介護と言われても他人事に感じるのが正直なところかもしれない。しかし多くの人に、その日々は遅かれ早かれ確実に訪れる。さらに痴呆症の介護となると、それまで当たり前だった疎通すらも日増しに困難になっていくのだ。現代の医学では治癒が困難な痴呆症。この現実を、介護する側とされる側はどのように生きゆくべきだろうか。

 今回お会いした森久美子さんは、痴呆症を患うお母様の介護に献身する傍ら“(社)呆け老人をかかえる家族の会 佐賀支部”の代表を務める。また、会の機関誌に連載した介護体験記を一冊にまとめた『汗かき、べそかき、恥かき日記 介護体験記』を平成14年に出版、大きな反響を呼んだ。

「女手一つで私を育て上げ、父親の役目もという思いからか、すごく厳しかったんです。ですから、母に痴呆の症状が見えた時は、あんなにしっかりしていた母が…とショックを受けました。ですが、母と一緒に暮らそうと福岡から佐賀に呼びました。

 母との日々を綴ったこの本には、すべてありのままに包み隠さず書きました。痴呆の症状は人によって様々で家庭の状況も一軒一軒違うから、私の書いた事がすべてのケースにそのまま当てはまるわけじゃない。それでも参考になった、励みになったという声を沢山頂いています」。

介護の中で日々直面する予測できない事態。やり場のない苛立ち、苦しみ。それでも森さんは絶望せず、お互いがより快く暮らせるよう手を尽くし心を砕く。

「まず痴呆症について勉強しました。そして母への対応でうまくいかないときは工夫してみること。母がそう来るならこっちはこうしてみよう、うまくいかなければまた別の工夫を考える」。

「介護を続けながらわかってきたのは、今の苦労がずっと続くわけではないということ。例えば、探して見当たらないものを母が“ない、盗まれた”と言い張るのに悩んだ時期がありましたが、今はその苦労はないんです。それもわからない症状になってますから。もちろんそうなるとまた別の苦労は生じるけど、苦労がある時はその苦労が永久に続くように錯覚しがちですよね。そうではない、いつか終わると思えるだけでも先が見えてくるんです」。

「ひとりで抱え込んではダメ。周りに相談する。愚痴を言う。同じ悩みを抱える人と話をする。ひとりで無理なことはお医者様やヘルパーさんに頼んでみる。そして自分が温かくなれるものを探して、自分の心をほぐしていくことも大事。私は今“冬のソナタ”に夢中なんですよ(笑)」。

 状況を正しく知る、改善策を工夫する、いずれ苦労は終わると考える、ひとりで解決しようとしない…介護に限らず、シビアな現実の中で悩みを抱える人々へのヒントになりそうだ。こうして切り開いてきた森さんとお母様の状況は現在、実に良いという。「母の健康状態などお医者様もびっくりするほど。こちらの気持ちが落ち着けば母に伝わる。そして母が良くなるのを見て私もまた良くなっていく。人はお互い相乗効果ですね」。

 保険制度や各種ケアサービスなど、介護に関して改善されるべき問題は多い。痴呆症に対する偏見も一部ではいまだ根強いという。そういった問題の提示、痴呆症への正しい認識の啓蒙、そして同じ悩みを抱える人々へのサポートと、森さんの生身の介護体験談は各方面でひっぱりだこだ。「何でもそうですが、介護もつらいだけじゃない。介護した人にしかわからない楽しさがあるんです。母がこうなって、新たに発見することも色々あるんですよ」。



※プロフィールなどの記述は「月刊タウン情報さが」掲載当時のものです。

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