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No.087


Profile

昭和32年6月、有田生まれ。有田工業高等学校を卒業後、武蔵野美術短期大学へ。その後、25歳まで東京で陶芸その他の勉強をし、帰佐。平成元年、6代目源右衛門の死去後、先代の意志を引き継ぎ、窯のスタッフや源グループの開発メンバーの面々と、日常に密着した製品開発に努める。


20代の
若者たちへ

若い時は都会にいる方が楽しいことがたくさんあるんですよね。佐賀に帰ってきた時の楽しみは「緑がきれいだな」っていうぐらいだったと覚えています。でも、今は有田に生まれて良かったなって思います。窯元に生まれてよかったなって。年とらんと分からんのですかね。(笑)  今の若い人たちも福岡に遊びに行くことが多いでしょうし、有田自体もあまり若者が来る場所というイメージはありませんが、最近はショールームにカップルで来る若者の姿も見られるようになってきたんです。そんな若い人たちの知的好奇心をくすぐるような受け皿づくりをすることも大事だなと思っています。


源右衛門窯製品開発室長

金子 昌司 さん

我が家の食器は全て試作品
「使ってみんとわからん」

 有田・三右衛門の中のひとつ、源右衛門窯。伝統を現代にアレンジした紋様と、鮮やかな色使いが特徴で、人々の生活に密着した器として全国的に名を馳せている名窯だ。

 築窯は240年前とかなり古く、当時は古伊万里の民窯として栄えていたという。その後、第二次世界大戦期には、企業統制などで国防一色となったものの、五代目源右衛門は従来の技法と意匠を改良し、真摯な陶芸探究を努めるなかで、工芸技術品製造の指定窯として、有田焼の伝統を厳守してきた。

 そして、現在の源右衛門のスタイル、『現代の日常に息づく器づくり』に取り組んだのが六代目源右衛門だ。料亭用食器や工芸品製作で培った伝統技法をさらに試行錯誤しながら、古伊万里の再興に尽力。日本人の原点を振り返り、器によるより豊かな暮らしの提案を精力的に展開してきた。タペストリーやテーブルクロスなど、「源コレクション」ブランドのインテリアや磁器工芸を商品化したのがその一例だ。器以外の製品を開発するなんて、当時の陶芸界においては異色とも言える稀なこと。だが、その斬新な考え方が受けたのか、商品はたちまち全国に知れ渡った。今では全国13社からなる源グループを結成。装い、食卓、暮らしに関わる製品を次々に協同開発し、『トータルプロデュース』の先駆け的存在として定着している。

 そんな六代目源右衛門が惜しまれつつこの世を後にしたのが平成元年。そして、六代目の遺志を受け継ぎ、今の源右衛門窯を支えている一人が、息子さんにあたる金子昌司さんだ。長い髪を無造作に束ね、無邪気さの残った少年のような顔立ち。ラフな服装と気さくな話し方は、陶芸家というより、デザイナーのような現代風のイメージだ。そんな印象を率直に伝えると、金子さんは笑って応える。

 「自分も陶芸家っていうつもりはないんです。源右衛門の作品は、それぞれの専門分野の陶工たちが作り上げる総合的なものですから。私自身はデザイナーやプランナーの感覚で仕事をする部分が多いですね。」

 工程を分業制にするのは、完成度の高さを求めるが故。だからこそ、それぞれの陶工が優れた技術を駆使し、一つの製品を完成させる。そして、出来上がった試作品は必ず自宅に持って帰り、使い心地を確認する。

  「窯元の家は昔からそうなのですが、紺屋の白袴と同じで、自宅の食器は「つらもの」と呼ばれる2級品や試作品ばかり。でも、こればかりは使ってみなければ分かりませんからね。」

 余談だが、窯元の家では汁碗も漆ではなく磁器を使うのだとか。金子家でも正月に新しいご飯茶碗を出したら、前の年のご飯茶碗が、その年の汁碗として一年間使われるのだそうだ。これには驚いたが、金子さんの次に出た言葉にはもっと驚いた。

 「私は汁碗はやっぱり磁器より漆がおいしいと思うんですよ。だからこの前『そうか、よし、汁碗造ろう!』って思いまして。もうすでに製品化して販売中なんです。もちろん源右衛門ブランドで。」

 漆器まで手がける源右衛門。金子さんの斬新な発想は、六代目である父の血を確かに受け継いでいるようだ。



※プロフィールなどの記述は「月刊タウン情報さが」掲載当時のものです。

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