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No.082


Profile

昭和19年2月、佐賀市蓮池生まれ。昭和45年、嫁ぎ先の長命湯の3代目に。以来、二十数年間、地域に親しまれる銭湯の番頭を務める。4月に一端営業を休むが、9月より一念発起して営業再開。銭湯文化とともに、人と人とのふれあいを大切に、毎日笑顔でお客を迎えている。


若者たちへの
メッセージ

銭湯に入ったことない人も結構多いんですよね。たまに、若い人たちが水着やバスタオルを巻いて入ろうとしてびっくりしたことも(笑)。恥ずかしいんでしょうね。でも、入り慣れれば、いいもんですよ。うちは決して新しくなく、設備がよいわけでもありませんが、広い浴槽は、家で入るのとまた違った気持ち良さがあります。ぜひ一度、会社帰りの疲れた体を休めに来てほしいですね。


長命湯 3代目

平山 敬子 さん

一念発起で銭湯再開!
憩いの場にしてほしい

 佐賀市街から少しはずれた小路に立つ『長命湯』と書かれた小さな看板。築40年になる古い建物。中に入ると、まるで30年前にスリップしたかのような銭湯ならではの光景が広がる。番頭に座るおばちゃん、ビン牛乳やラムネの入った小さな冷蔵庫。木製の下駄箱に脱衣箱、火鉢に首振り扇風機。そして風呂場の中央には大きくて丸い浴槽。壁には小さなタイルで風景画が描かれている……。

 戦前から続く銭湯『長命湯』。この銭湯の3代目を務めるのは平山敬子さん。番台に座り、もうすぐ30年になるベテラン番頭さんだ。 「昔は嫌になるほど忙しかったですね。私の3人の子供は、子供好きのお客さんがわざわざ入れてくださってたんです。だから私は一度も子供を風呂に入れたことがないんですよ(笑)。でも、最近はお客も少なくなってしまって……。」

 30年前、佐賀市には約20軒の銭湯があった。その頃は、さだまさしの歌のように、石鹸をカタカタ鳴らしながら銭湯に出かける姿が日常の光景。しかし、時代の流れとともに、各家庭に風呂がつき、銭湯の存在価値は次第に薄れていった。現在、残っている銭湯は佐賀市に3軒、県内でも7軒のみ。長命湯も昨年4月、一旦営業を停止した時期があった。利用者の激減、そして、風呂釜の老朽化による故障が理由であった。

 もう再び開くことはないと思っていた平山さんだったが、やはり長年切り盛りしてきた銭湯には愛着も強い。加えて、少ないながらも常連で来てくれていた人たちから「また入りたい」という声も上がった。”よし、もう一度やってみよう!“一念発起し昨年9月、再び湯を沸かし始めた。

 「周りの友人や知人たちからは『もうやらなくていいじゃない。お客も少なくなってしまったのに』ってだいぶ言われたんです。自分でも悩みました。正直、今でも躊躇している部分があるんです。でも、思い出のあるこの風呂を取り壊すなんて絶対できない。何より、少ない人数でも、来てくださるお客さんがいて、うちの風呂を楽しみにしてくださる限り、やっていける。まだまだお客は少ないですが、私ができるところまではやっていきたい。銭湯にしかない良さってやっぱりあると思いますので。」

 夕方も過ぎると、一人、二人と近所の常連さんが入ってきた。何でも、一人で広い風呂に入るのは寂しいから、時間を見合わせて来るのだという。他愛もない世間話をしながらゆっくりと湯船につかる姿はまさに裸のつき合いだ。気持ち良さそうに入るその笑顔を見て、平山さんも思わず微笑む。平凡ながらも温かい憩いの空間。これこそ平山さんの言う『銭湯にしかない良さ』なのだ。



※プロフィールなどの記述は「月刊タウン情報さが」掲載当時のものです。

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