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No.076


Profile

昭和3年8月、川副町竹下染工の4代目として生まれる。旧制龍谷中学校を卒業後、1年間の教職を経て染工として働き始める。現在、県下ただ一人の伝統肥前型染師。節句ののぼりや旗などを手がける。


若者たちへの
メッセージ

私たちの若い頃とは時代が違いすぎますが、それでも最近は『自由』を履き違えている人が多いですよね。法律があるように日常生活にも守らなければいけないことはある。それを分かってほしいですね。


伝統肥前型染め 竹下染工 4代目

竹下 和実 さん

100%の出来具合はない
それが手作業の難しさ

 工場の奥にある中庭に、ピンと横に張られた4本の白い旗。風にパタパタと揺れるその旗の中で、1本の筆を口にくわえ、2本の筆さばきで鮮やかな色を付けていく匠の姿がある。県下でただ一人、伝統肥前型染めを手がける竹下和実さんだ。

 「染色はね、太陽の光が命。この光線がいい色を出してくれるんです。春先から夏にかけての光が一段といい。少しでも曇るともうダメ。だからこれからの時期はいい色を出すのが難しいんですよ」と、空を見上げながら一言。小春日和の昼下がりではあったが、日差しが弱まったから、と筆をとめ、工場に入る。ふと目に付いた竹下さんの腕は浅黒く、真夏に太陽を浴びながら仕事をしていた名残りがうかがえる。

 22歳の時、家業の後継ぎとして始めた染工の仕事。デザインから下絵、文字、染付けまで全てが手作業。もちろんそこには商品としてお客に出せるだけのセンスや達筆ぶりが要求された。

  「初めはね、とても見られたもんじゃなかった。今でも30代の頃の作品を見ると恥ずかしくなる程下手な字ですよ。(笑)でも、毎日毎日やっていれば自然と書けるようになるもの。人間努力に勝るものなしですよ。でも、100%の出来映えなんて今だにありません。それが手作業の難しさなのですから。」

 現在、街で見かける旗の多くは、コンピュータで処理されたもの。大量生産ができ、効率もよくなるという意味ではとても便利だ。しかし、竹下さんは決して機械には頼らない。のり作りから乾燥まで、急いでも1週間はかかるその工程を、自らの知恵と労力を使い、一つひとつ仕上げていく。それは、これまで磨き上げてきた自分の腕への誇り、そして何より作品を見て喜んでくれるお客の顔があるからだ。竹下さんは言う。「職人はね、金儲けじゃない。お客さんに自分を分かってもらい、いい仕事をして、いかに喜んでもらうかですよ」と。

 竹下さんの作品の70%は節句のぼりとこいのぼり。毎年、新しい年が明けるとすぐ、5月に向けてのぼり作りに取りかかる。武者絵、関ヶ原、宇治川…。機械には到底出しえない、手作りの味わいはやはり見る人の目にも分かるのだろう、毎年5割程度が、前のお客からの紹介で注文に来るのだとか。それでも、ここ近年は不況のせいもあってか注文が減ってきているという。

 「確かに安いものではありませんし、生まれたばかりの子供に見せても、何が何だか分かりませんしね。(笑)でも、やはり端午の節句にのぼりの立つ家が減るのは、さびしいものですよ。」



※プロフィールなどの記述は「月刊タウン情報さが」掲載当時のものです。

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