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No.074


Profile

昭和29年6月、鹿島市生まれ。鹿島高校卒業後、武蔵野美術大学日本画科へ。昭和56年、鍋島更紗の復興と研究に情熱を傾けた父の意志を受け継ぎ家業を継ぐように。現在、染織の創作に意欲を燃やしながら、6人のスタッフとともに、佐賀県の郷土玩具「のごみ人形」を作り続ける。日本工芸会会員。


若者たちへの
メッセージ

今の世の中は情報化時代で、何もしなくてもいろいろなことが頭の中に入ってくるでしょうが、まず物を見るという行為を忘れないでほしい。そして、その物について自分がどう感じたか、その心を大切にしてほしいですね。


のごみ人形工房 2代目

鈴田 滋人 さん

手の温もりを伝えたい

 佐賀県の代表的な郷土玩具の一つ、『のごみ人形』。土の香りと土鈴の素朴な音色が特徴で、昭和38年(うさぎ鈴)、平成3年(未鈴)には年賀切手に採用されたほど全国にも名の知れた玩具だ。

 のごみ人形が生まれたのは終戦直後のこと。鹿島市能古見地区に住む鈴田照次さんが「この殺伐とした世相に少しでも潤いを与えたい」という思いで創ったのが始まりだ。

 当初は薬屋の一角に展示、数年後には祐徳稲荷神社の境内で魔除けや開運の人形として売り出されるようになり、次第に郷土玩具として広く受け入れられていったのだという。

 現在、人形の種類は約四十種類。十二支をはじめ浮立面やかちがらす、むつごろうなど地元ならではのデザインからお雛様や稲荷駒といった縁起をかつぐものまで多種多様だ。

 亡き父の意志を受け継ぎ工房の、2代目を務めているのが鈴田滋人さん。もう一つの家業でもある染織の傍らで、現場こそ6人のスタッフに任せているが、郷土玩具に対する思いは父親に負けずとも劣らない。

 「染織は一つの作品を突き詰めて創作することができる分、広がりがありません。逆に郷土玩具はたくさんの人に届けることができます。しかし、いくらたくさん作れるといっても、もともと売ることが目的ではありませんから、生産性をよくするために機械で作るとか、新しい製品をどんどん開発するなんていうことは作る意図が違うと思うのです。型どりから地塗り、絵付けまで一つひとつ手間暇かけて作っているからこそ、温もりが伝わるのであり、その温もりが味わえるからこそ郷土玩具なのではないでしょうか。」

 能古見地区に構える小さな工房では今の時期、来年の干支になる辰鈴の製作の真っ最中だ。

 「今年の作品は、毎年購入してくださるお客さんのために、絵付けの色合いを変えてみた」と鈴田さん。従来の青色の部分を鮮やかな翡翠色にし、名前を『翡龍鈴』とした。4人の絵付けスタッフの手により、翡翠色の顔料が真っ白い人形に一つひとつ筆でしたためられていく。できあがった龍の表情が微妙に違うのは手作りならではだ。

 「最初にデザインした線が、絵付けをする人によって量をこなしているうちにだんだん変わってくるんです。その線がまたすごく味わい深くておもしろいんですよ。目の大きさやほんのわずかなずれが個性になりますから。スタッフには苦労をかけますが、この温もりだけはいつまでも大切にしていきたいですね。」



※プロフィールなどの記述は「月刊タウン情報さが」掲載当時のものです。

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