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No.071


Profile

昭和13年11月、長崎県北高来郡生まれ。15歳の時に鹿島の面師の元へ弟子入りし、5年間の修業を経て重要無形文化財佐賀面浮立の面師に。昭和50年に独立し、中原恵峰工房を開く。現在、県内に3人しかいない貴重な面師として活動。年に1度、大阪で行なわれる佐賀県の物産と観光展に出品し、実演なども行なっている。


若者たちへの
メッセージ

自分が若い頃もそうだったように、今の若い人たちに「昔はこうだった」なんていっても説教にしか思ってもらえないとは思うのですが、やはり修業をしていた頃は何年も彫刻をさせてもらえないなど、かなりの苦労をしてきました。でも、今思うとその苦労は、将来自分に花を咲かせるために積み重ねていたものだったような気がします


面師

中原 恵峰 さん

『もっといいものを』と作り続けて45年。

 佐賀県の重要無形文化財に指定されている面浮立。県内の各地域に昔から伝わる伝統芸能で、農作物の豊穣や豊年感謝を祈願するお祭りの主役といっても過言ではない。

 その面浮立の鬼の面を作っているのが『面師』と言われる人たち。現在は県内に3人のみ、浮立の源地ともいうべき隣県・長崎に至っては1人とていない。すなわち、全国で3人しかいない貴重な存在なのだ。そのうちの一人が、今回紹介する鹿島市の中原恵峰さん。面師の職について45年、工房を開いて23年になる大ベテランだ。

 長崎出身の中原さんと浮立との出会いは少年時代に出かけたお祭り。毎年々々言い知れぬ奥深さを漂わせる鬼の面をかぶって太鼓や笛を吹きながら踊る大人たちの姿にあこがれ、15の時、弟子入り募集の話を聞き、即座に飛びついて鹿島へやってきた。5年の修業を経て、恵峰という名をいただくとともに面師となった中原さん。それからはただひたすら、のみと木づちを巧みに動かし、精悍な面づくりを手がけてきたという。

 「当時の時世もあり、始めは周りから『そんな彫刻のような仕事で生活ができるのか』とだいぶ心配されていました。確かに、商売をする、儲かるという目的でできるものではありませんね。材質のこだわりから仕上がりまで、納得のいくものを作らなければ、自分もお客様も納得しませんから。息子なんか未だに『なんでそこまでしなければいけないのか』なんて言っているんですが、ほんと、好きじゃないとやれないと思います。」

 面に使う木材は佐賀県産のクス(装飾用)とキリ(踊り用)。直径60cm1mという丸太の一番いい部分のみを使い、1本からわずか2つのお面の角材しかとれない。その選りすぐった木材も、彫っているうちにふとしたところに節ができていたり、色の濃い年輪があるとそこでOUT。また他の木材で1からやり直しだ。

 「浮立面はお祭りの時にかぶるだけでなく、装飾用にも使われるんです。昔の家庭ではよく魔除けとして床柱に飾られていたんですよ。ですから、新築祝いの贈り物や家宝にするなんていう人もいて。そんな人たちに渡すものだからこそ、ほんの少しの傷でさえもあってはならないのです。それが職人としてのプライドです。毎回彫るたびに『もっといいものができないか』と思うという中原さん。“好きこそものの上手なり”とはまさにこのこと。好きが自信につながり、自信が誇り・プライドとなってさらに自らの作品に対する探究心を震い立たせているというわけだ。



※プロフィールなどの記述は「月刊タウン情報さが」掲載当時のものです。

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