「タウン情報さが」トップへ 株式会社西日本情報センター
849-0928
佐賀県佐賀市若楠3-1-15
TEL 0952-33-3155
FAX 0952-33-3166
月刊タウン情報さが
tjsaga.co.jp を検索 WWW を検索
トップ>佐賀の人
No.001〜050のリストへ   No.051〜100のリストへ   No.101〜150のリストへ   No.151〜のリストへ

No.068


Profile

昭和19年10月、有田町生まれ。有田工業高校卒後、1年修業した後初代の跡継ぎとして二宮閑山工房へ。39年に2代目となり、風鈴をはじめタイピンやゴルフマーカー、ピアスなどさまざまな磁器のアクセサリーを手がける。


若者にも人気

学生さんや、若い方たちも風鈴にはとても興味を示してもらっているみたいです。店などで「かわいい」なんて眺めて、買っていかれる人をよく見かけます。昔ば縁側に吊るして夏の夜風を楽しむものでしたが、最近は部屋のアクセサリーにもなっているみたいですね。


二宮閑山陶房

二宮 閑山 さん

厳密にいうと1つ1つが
違う音色になるんです

 ほんの少し前、日本の夏といえば各家庭には必ずと言っていい程縁側があり、風鈴が吊るされていた。夜風がふくたびにチリンチリンとなる風鈴の音はまさしく『日本の夏のBGM』であっただろう。

 有田町にある二宮閑山陶房では、毎年春頃になると有田焼で作られた風鈴が店先に並ぶ。『有田風鈴』と名付けられたそれらは、磁器独特の澄んだ音色を放ち、通りゆく人々に『涼』を与えてくれる。

 初代二宮閑山さんは元々愛知県瀬戸の出身。着物の帯締めなどの小物を製作する中で、硬質で白い肌という有田独特の磁器に魅せられ、有田に地を移してきたという。時代とともに帯締めの需要は少なくなったが、カフスやペンダントなどありとあらゆるアクセサリーを製作し、今では有田でも珍しい小物専門の陶房となった。

 昭和38年に二代目となって以来、初代の意志を受け継ぎながら制作に励む二宮さんが風鈴を作るようになったのは、約20年ほど前。南部鉄器の風鈴で有名な岩手県水沢市で行なわれた「全国風鈴大会」に出品したことがきっかけだ。それまで、風鈴と言えばガラスや鉄でできたものが主流。そんな中、二宮さんは指先で軽くばじくだけで美しい音色を出す有田の磁器こそ風鈴の音に活かせるのでは、と考えたのだ。形や磁器の厚さ、デザインなど試行錯誤しながら1カ月かけてできた風鈴は下関のふぐをモチーフにした丸い形のかわいらしいもの。見事、水沢市の商工会議所会頭賞を受賞した。

 「風鈴の命はやはり音。鈴の中で響く、あの美しい音色が出せなけれぱ、いくらデザインがよくてもダメ。だから、最終的には縁の丸い、お碗を逆さにしたような形になるんです。でも、同じ形にしてもその器の微妙な厚さや中子(風鈴の中の陶片)のあたる位置によって音色が違うんです。うちは一つひとつ手作業で中子をつけていますから、同じにしようと思ってもできない。音色の好みは人それぞれですから、聞いて自分の耳にあったものを選んでもらうのが一番ですね。」

 なるばど。こちらで作られた風鈴は、世界に一つしかないオリジナルの音色になるというわけだ。マンションやアパートが増え一時期その存在が簿くなりつつあったが、最近ではまた見直されてきているという風鈴。「昔から日本の夏に涼を与えてきたこの音色をいつまでも絶やすことなく、多くの人に聞かせたい…」との思いを込めて、今年もたくさんの風鈴が作り上がった。そして今夜も、二宮さんの思いの詰まった風鈴が、どこかの家庭で美しい涼の音を奏でている。



※プロフィールなどの記述は「月刊タウン情報さが」掲載当時のものです。

Copyright All rights reserved. NISHINIHONINFORMATION CENTER CO.LTD.