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No.042


Profile

昭和36年1月、武雄市生まれ。武雄高校卒業後、神奈川県の東海大学経営学部経営学科へ進学。卒後、辻調理師専門学校へ行き、料亭「吉兆」で修業した後、帰佐。29歳の時、扇屋の4代目に。30歳のときから板場に立ち、季節折々の料理を真心込めて提供している。1993年、1994年には日本温泉旅館大賞グランプリを受賞。


二十代を
振り返って

隣の芝はよく見えるかもしれない。でも、自分の個性、カラーは大切にしてほしいですね。自分自身の生き方は自分が一番生きやすい生き方がいいんです。それに対してごまかす必要はありませんし、人からの評価や世間を気にして自分を変えても、後で辛いだけです。二十代の時はなかなか人から認めてもらえなくて歯がゆいこともありますが、自分自身に核となるものをしっかり見つけておいてほしいですね。


懐石宿扇屋4代目ご主人

山下 裕輔 さん

ごまかしだけは絶対にしない

 「旅館の心臓部は板場だと思うんです。料理ができて、器があり、持っていく仲居さんがあり、味わうためのお部屋があり、しつらえがあり、その付加価値に温泉があったりいろいろなサービスがあったりするんですね。そのお客様をもてなすための一番の核となる料理を、経営者である私がせずして、お客をもてなすことはできないと思ってるんですよ。」

 おいしい料理が味わえる旅館として県内はもちろん、全国的にも名の知れた懐石宿『扇屋』のご主人、山下裕輔さん。扇屋を継いだ29歳の時にそれまでの旅館を懐石宿とし、自ら板場を仕切り真心を込めた料理をお客に提供し続けている。メニューは月替わり。その月に旬となる食材を用い、山下さんが考える。板場には山下さんを中心に4人の板前が立つ。それぞれが効率よく動き、絶妙なタイミングで次々と料理が運ばれる。この運ぶ頃合ももてなしの一部だ。

 また、料理だけが山下さんの『もてなし方』ではない。チェックインの時間になると、表には従業貝が立ちお客を出迎え、玄関には仲居さんが勢揃いで歓迎、部屋までを丁寧に案内してくれる。決して出すぎず、かといって等閑ではない程好い距離感、この殊勝なもてなしぶりにはほとほと感心してしまう。部屋は昔ながらの造りで、床の間には花や掛軸がかけられた趣のあるたたずまい、部屋にある専用露天風呂も、決して広くはないが落ち着きと安らぎを与えてくれる。これぞ『旅館』といった感じだ。

 板場の仕事を終えた山下さんは、夜になるとバーテンダーに早変わり。旅館内にあるバーでお客との会話を楽しむ。何気ない会話の中で出たお客の言葉一つひとつから、お客の状態や味の好みなどを汲み取り、翌朝以降のサービスの参考にするのだ。

 このような心がけがお客にも通じたのか、扇屋の名はロコミで広がり、1993年、94年と二年連続して日本温泉大貴グランプリ(TBS系テレビ番組)を受賞したという経験もある。これだけ名の広がった旅館に成長しながらも、山下さんは旅館を広げる気はないという。

 「サービスというのは、物品販売業とは違いますので、目の届く範囲でなければできないと思うんです。お客さまの心と我々の心が通じていることが大切ですから。この理念を引き継いてくれる子供が育ったり、弟子がのれん分けをするなんてことはあっても、ただ旅館を大きくするなんていうことは、これまで扇屋に来てくれたお客さんや自分自身をも否定してしまうことと同じですから。」



※プロフィールなどの記述は「月刊タウン情報さが」掲載当時のものです。

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