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No.030


Profile

大正5年4月、有明町室島生まれ。15歳で女学校を卒業後、東京の大学へ。終戦後佐賀に戻り、子供のお守りがてら自らが幼い頃に覚えた昔話を語り、たちまち人気者に。その噂が口コミで広がり、現在は全国から依頼が殺到。平成8年には久留島武彦文化賞を受賞している。


若者への
メッセージ

今の若い人たちもそうだけど、そのお父さんやお母さんも生まれた時に戦争やら何やらでゆっくり昔話も聞いていませんからねえ。とっても喜んでくれるんですよ、私が話すと。昔の人の言うことは「古くさい」って思われるかもしれないけれども、昔の人は本当に知恵が多かったんですよ。昔の人の話を嫌がる人も多いけど、無駄はないから耳を傾けてもらいたいですねえ。


昔話語りベ

蒲原 タツエ さん

昔話は心で覚えているのよ。

 「私はねえ、話すことにおいてばあんまり抵抗を感じないの。小さい時からぺちやくちや話しよったらしか。それが年とってから認められたわけね。普通はね、あんまりしやべると嫌われるでしょう。こないだも、久しぶりに娘のところに訪問したから嬉しくてず−っと側についてしやべりよったら『もう、お母さんだまっとって。くたびるう』て言われてしもうてねえ…。」

 眼鏡の奥からやさしい目をのぞかせ、懐かしい佐賀弁で語りかけてくれる蒲原タツエさん。塩田町に住む昔話の語りべだ。現在は地元の小中学校、企業や婦人会などを点々としている他、ロコミで噂が広がり、全国各地からの依頼で講演にも回っている。

 蒲原さんが昔話をするようになったのは、言葉を覚えるのと同じ頃。当時、本家のおぱあちやんや近所のおばあちやんが聞かせてくれた昔話を一言一句聞き漏らすまいと一生懸命覚えていたという。

 「なんでそこまで真剣に聞きよったかというと、私の昔話が聞きたいっていう近所のきれいなお嬢さんたちがおったんよ。私はまだ2歳か3歳やったけんね、ちかっとませとったとやろうね。そのお嬢さんたちにしてみたら、まだろれつも回らん私がいっちょまえに昔話をするのがかわいかったんやろうね。私も『聞きたか』って言われたら幼心にもちやんと話さなきやって思うてね。そのおかげでいっぱい覚えたと。」

 昔話は頭じやなくて心で覚えている、という蒲原さん、何とその物語の数は820あまり。昔話を話す対象と、時々のシチュエーションによって内容を心の中から即興で引っ張り出すのだとか。我々の取材時には小雨が降っているからと『雨の夜の客』という話をしてくれた。巧みな佐賀弁と豊かな表現力、時折テーブルを叩いたりといった効果音も入れながら、いつの間にか我々を物語の中へと引き込んでいってしまう。“これこそ天性”としか言いようがない話しぶりだ。

 「元気でいる限り、生の声を皆さんにお届けしたい。昔話をしているといろんな人に出会えてすぐお友達になれるもんね。楽しいよお」という蒲原さん、沖縄、別府、大分、大阪、京都と、これからの予定もピッシリだ。

 “むかしむかしねえー、あるところに・…”今日も日本のどこかで子供たちを引き込む蒲原さんのやさしい声が聞こえている。



※プロフィールなどの記述は「月刊タウン情報さが」掲載当時のものです。

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