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No.003


Profile

1951年10月、佐賀の老舗「松川屋」の長男として生まれる。早稲田大学第一文学部演劇科を卒業後、渡仏し「キネマ旬報」パリ駐在員に帰国後、映像ディレクターとして数々のビデオCM、ビデオクリップを演出する。1985年より富士町で開かれる古湯映画祭の顧問として活躍。現在、映画評論家、ビデオ作家として東京と佐賀を行き来し、映画ファン、ビデオファンとの交流に努めている。


映画評論家

西村 雄一郎 さん

自分の映画好きは地の利でしょうね。

 現在、映画評論家として幅広く活躍中の西村雄一郎さんは佐賀市出身。実家は松原神社のすぐ近くにある老舗「松川屋旅館』だ。興業が盛んな門前町であった当時、祖父や母に連れられて近くの映画館へ行くのが幼い西村さんの大の楽しみ。そんな中、初めて感銘を受けた映画は、黒澤明監督の「椿三十郎』。小学4年生の時だった。「すぺてにおいてケタが違っていた。一練りも二練リもしたストーリーとキャラクターの面白さ・・・(中略)…映画とはこんなに面白いものだったのかと心底知らされた思いがした」(黒澤明 音と映像より)高校卒業後、本気で映画の勉強がしたいと早稲田大学の文学部演劇科へ入学。折りしも学園紛争の終末期、まともな授業を受けることすらできず殺伐としていた。そんな時代に嫌気をさしていた大学1年の冬、大ファンであった黒澤監督の自殺未遂というショッキングな事件が起きた。

 「その時に決めたんです。3年間がけて黒澤明についての卒業論文を書こうということを。訳のわからない時代だったから、訳のわかる黒澤映画をとことん考えてみようと思ったのです。」

 それからの西村さん、黒澤監督にまつわる人たちに直談判、インタビューにかけ巡る毎日が続いた。1年後、たまたま見に行った黒澤特集の映画館で、奇遇にも黒澤監督と隣合わせになる。

 「普通のファンだったら、握手やサインをしてもらうのが当たり前なのでしょうが、3年がけて卒論を書こうとしている対象が隣に座るなんて、神のお導きとしか思えなかったのです。だから、「お話を聞かせてください』なんて言っちゃったんですよ。」

 無謀としか言いようのない西村さんの突拍子もない頼み事を、黒澤監督は快諾。それから2時間、近くのビアホールでインタビューを行ったという。その話を知人であった当時のキネマ旬報編集長に話すと「面白い!書いてみろ」とアドバイス。西村さんのデビュー作は大反響を呼ぴ、その年のキネマ旬報読者賞の第2位に輝いた。その後、卒業論文は「黒澤明その音と映像」という形で完成。卒業後は、キネマ旬報のパリ駐在員として3年間フランスに滞在した。

 日本に戻り、「ビデオの時代が来る」と直感、ビデオプロダクションに入社した。5年間ビデオ演出のノウハウを学ぴ、映像の撮り方とビデオの撮り方を比較した記事を学研に連載、テレビ番組にもなった。それがまたまた好評を得、日本映画学校や池袋のカルチャースクールから講師の要請が相次いだ。映画評論家・ビデオ作家としての西村さんの名が雑誌やテレビなどで見られるようになり、多忙な日々を送っていたある日、佐賀県の知人から『古湯映画祭』の話を持ちかけられた。

 「佐賀の老若男女が楽しめる企画を作ってください」というお願いに、愛郷心の強い西村さんはニつ返事。企画内容はもちろん『黒澤映画』だった。黒澤映画の脚本家、佐賀市出身の井手雅人氏などの著名人も呼ぴ、映画祭は大盛況。前年度の第1回に比べて10倍の人たちで賑わった。それから現在まで、毎年顧問として参加。古湯映画祭は今年14年目を迎え、佐賀県の大きなイベントの一つとして定着した。また、この古湯映画祭をきっかけに、映画に感銘を受けた富士町の若者がシネマ倶楽部富士を結成、県民の映画に対する関心も次第に高まっている。

 現在、西村さんは、東京と佐賀に事務所を構えて行ったり来たり。映画評論家、作家活動、佐賀では、佐賀新聞と毎日新聞に毎週コラムを掲載、カルチャースクールの講師やNBCラジオ番組に出演、また実家『松川屋』の専務としての仕事も忙しい。

 「佐賀県は映画に恵まれていますよね。古湯映画祭を皮切りに、映画のロケも度々ありますし、映画館も充実してるし。実は私、佐賀県1市1映画運動を計画してまして、来年、まだ舞台になっていない鹿島を題材にした映画を作りたいと思っているんですよ。」

 我が愛する佐賀のみんなにもっと映画の良さを知ってもらいたいと願う西村さん。印象批評を述べるだけの映画評論家とは一味も二味も違い、とことん映画を愛し、活動する精神は“映画活動家”とも言えるだろう。



※プロフィールなどの記述は「月刊タウン情報さが」掲載当時のものです。

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